診断・国語辞典

様々な辞書関係者が、多くの辞書解説書を出すようになった。これもひとえに「舟を編む」の効果であろう。しかし、残念ながら辞書関係者、辞書研究者の辞書解説、辞書批判は今ひとつの内容が多い(特に某三省堂辞書関係者)。そんな中にあって、本書の精密な検証による建設的な辞書批判は誠に切れ味が鋭い。古い本で、もはや新刊では入手困難だと思われるが、辞書愛好家であるならば是非とも一読を薦めたい。著者は国語学者でも何でもない、一使用者である。しかし、その批判はなかなかに的確だ。我々ユーザーサイドの声無き声を代弁してくれる。快なる哉！多くの辞書を買い揃えて引き比べれば比べる程、辞書の不完全さは明らかになっていくものである。こうした不完全さに辞書編纂者が気付いていないのであれば、何時までたっても辞書は改善されない。否定的な辞書批判や、辞書編纂者の自画自賛はもう十分である。こうした建設的な辞書批判が増えることを切に願う。