マチルダの恋 (ハーレクイン・セレクト)

ヒロイン：マチルダ（26歳）は牧師館の娘。ヒーロー：ドクター（38歳）スコット＝サーロウは優秀な整形外科医。恐らくは二人同時に一目惚れ。次の出会いは花々に囲まれて。輝き溢れる中、ヒロインは、ドクターに婚約者がいることを知ることに。二人の恋の行く末は如何に？二人ともに、そんな若い二人でもないというのに、もじもじ的そわそわ的青春ロマンスを感じさせます。何とも不器用な二人の会話に、微笑ましいもの有。決して直截的ではなく、お互いに想いの手さぐりばかり。気が付けば、ドクターのちょっとした台詞や行動に傷つくヒロイン有り、で、痛々し。うわ、青い恋だよ、と。会ったばかりで、話し始めたばかりで…という場面で、ドクターが突然「恋をしたことはないんだね？」発言。これ以上の思わせぶりな台詞はないというのに、その場でドクターはマチルダに、自分が婚約していることを告げます。それって、どうよ？その後も出会う度に、「にこりともせず」マチルダを見つめる、マチルダのうたた寝姿にうっとり見とれる、ナンテコッタイなドクター。なのに、もはやあばずれの領域に入るような下作な美人婚約者をひっさげて、マチルダの前をうろうろするドクター。わからん。だけれども、マチルダの危機には必ず馳せ参じる白馬の騎士なドクター。女性から見たら、どうしてくれようこのドクターってことになるんですけど、ヒロインのマチルダは、そんなドクターの幸せだけを願っております。しっかり者ですが、感受性豊かで優しい女性なんですね。不可解紆余曲折極まりなしですが、これぞ恋の道と申せましょうや。ドクターの台詞の中に、『トロイラスとクレシダ』というシェイクスピアのトロイ戦争末期を描いた問題劇が出てきます。この戯曲、どこをとっても不思議不可解すっきりしないという意見多し。まさしくこの物語を象徴しているような…そんな気がします。この、婚約者持ちなくせしてヒロインに惚れてしまう鉄面皮パターンのヒーローに一言！どうして早く婚約を破棄できない？どうして婚約者を野放しにして手綱をとれない？男として、どうよーっと思います。まあ、でも。それもロマンスですな。